羅臼岳・知床連山|知床世界自然遺産・知床国立公園 羅臼ビジターセンター

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玄関先の子ジカ

知床半島では、6月上旬がエゾシカの出産ピークです。

子ジカはすぐに立ち上がることができますが、生まれてから1週間くらいは、あまり運動能力が高くありません。そのため、 しばらくの間は茂みの中にうずくまってじっと身を隠し、時々戻ってくる母ジカから乳をもらう、という生活 をしています。お母さんもその方が安心して草を食べに出かけられるのでしょう。

ですから、この時期に草の中でうずくまっている子ジカは、ほとんどの場合健康です。弱っているわけではないので、それを善意で保護することは、母ジカにとっては「誘拐」になります。 誘拐犯にならないよう、なるべくそっと見守ってあげるようにして下さい。

ただし、茂みに伏せて隠れている子ジカを見つけ出して食べやろうと、狙っている動物もいます。 ヒグマキタキツネ です。 そのためか最近、母ジカがわざと人間の目につきやすい場所に子ジカを置いていき、ヒグマやキツネに食べられないようにしているようなフシがあります。 それで「家の玄関先に子ジカがいる!」「うちの庭や、町役場の駐車場で出産している!」というような事態になっていると考えられます。 毎年6月になると、「子鹿がうちの敷地内で弱ってうずくまっている。 カラスにやられそう。なんとかして!」という通報が何回かあります。 「たぶん健康な子ジカなんだろうな・・・」と思いつつも、万一本当に弱っていたり、カラスにやられてケガをしてしまった場合は、その子ジカが人家のそばへヒグマを引き寄せる原因になってしまいます。

そのため、羅臼ビジターセンター常駐の知床財団職員が現地へ向かうようにしています。 しかし子ジカに近づいた途端、子ジカの鳴き声を聞きつけた母ジカがすごい勢いで駆け寄って来て、前肢で地面をバンバン叩いて威嚇してきた。仕方ないので少し様子を見ていると、乳を飲んだ後に親子で立ち去って行った・・・ という結果に終わる場合がほとんどです。

 ちなみに、6月頃に赤毛の犬(アイヌ犬や柴犬など)を散歩させていると、母ジカに追いかけられて威嚇されることがあります。たぶん、キツネに毛色が似ているので、子ジカを食べられまいと必死なのでしょう。赤毛の犬を飼っている方は、ご注意ください。シカに蹴られると、ひづめが尖っているので結構痛いですよ(経験者)。